ルペオール

ルペオールは研究中の試薬ですが、鳥取大学では犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)に対する研究が行われています。

 

悪性黒色腫(メラノーマ)に対するルペオールの効果

1. はじめに

悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニン産生細胞に由来する悪性腫瘍で、再発や遠隔転移のリスクが高く、化学療法や放射線治療の有効性は不明です。
ルペオールは、キク科植物などに含まれる天然化合物で、これまでの細胞レベルの研究でメラノーマ細胞の増殖抑制効果が示されてきました。しかし、生体内での効果については十分に検証されていませんでした。

2. ルペオールの構造と効果

ルペオールは、トリテルペン化合物の一種で、腫瘍細胞の分化誘導やアポトーシス(細胞死)を促進することが報告されています。

3. 動物モデルでの腫瘍成長抑制効果

メラノーマモデルマウスにルペオールを投与した結果、皮下投与および局所投与の両方で腫瘍の成長抑制が確認された。

組織学的に、ルペオール投与後の腫瘍細胞で細胞分裂の抑制とアポトーシスの誘導が確認された。

4. メラノーマ罹患犬での効果

実際のメラノーマ罹患犬13例に対してルペオールを全身投与し、6か月~2年間観察を行ったところ、

13例中、再発が見られたのは3例
遠隔転移は1例も確認されず
臨床Stage IIIの症例では、生存期間中央値が210日以上と従来の治療法より良好な結果となった。
副作用は確認されませんでした。

5. 今後の展開

ルペオールは、転移の予防や再発抑制に有望な治療法ですが、腫瘍の種類や状態に応じて他の治療との併用が必要です。

結論

ルペオールは、悪性黒色腫(メラノーマ)の再発予防と遠隔転移抑制に効果を示し、生体に優しい癌治療法として今後の応用が期待されます。

ただし、さらなる研究が必要であり、他の治療法との併用が推奨されます。

 

基材がオリーブ油のため、オリーブ油に対してアレルギーの犬や猫には使用できません。

メラノーマや扁平上皮がんには有効であったという報告があります。

動物病院で皮下注射あるいは局所への投与が可能です。