犬の椎間板ヘルニアに対するオゾン療法と鍼治療(鍼灸)
犬の椎間板ヘルニア(IVDD: Intervertebral Disc Disease)について
犬の椎間板ヘルニアは、脊椎(背骨)の間にある椎間板が変性し、神経を圧迫することで痛みや麻痺を引き起こす病気です。特にダックスフンド、コーギー、シーズー、ペキニーズ、ビーグルなどの犬種でよく見られます。
椎間板ヘルニアの解説は以下に記載します。
1. 椎間板ヘルニアの種類
① ハンセンⅠ型(逸脱)
主に**軟骨異栄養性犬種(ダックスフンドなど)**に多い。
若い頃から椎間板の変性が進み、突然の外力(ジャンプ・落下・急な動き)でヘルニアが発症。
急激な痛みや麻痺が起こる。
② ハンセンⅡ型(突出)
**大型犬(ラブラドール、ゴールデンレトリバーなど)**や高齢の犬に多い。
椎間板の変性が徐々に進行し、慢性的な神経圧迫を引き起こす。
徐々に足がもつれる、歩行が不安定になるなどの症状が出る。
2. 症状の進行度(グレード分類)
グレード1(Grade1)
軽い痛みのみ(歩行可能)
背中を丸める、触ると嫌がる
グレード2(Grade2)
歩行はできるがふらつきがある
足の反応が鈍い
グレード3(Grade3)→歩行ができない場合は、グレード3以上になります。
自力歩行ができないが、感覚はある
立ち上がれない、足を引きずる
グレード4(Grade4)→グレード4以上は手術を検討する必要があります。
麻痺して自力排尿が困難
感覚はわずかにある
グレード5(Grade5)
完全麻痺
痛覚消失(足を強くつねっても反応しない)
24〜48時間以内に手術しないと回復が難しい
3. 診断方法
神経学的検査(歩行テスト・反射テスト)
X線検査(骨の変形の確認)
MRI・CT検査(椎間板の状態や神経の圧迫具合を詳細に確認)
4. 治療方法
① 内科治療(保存療法) *グレード1〜3向け
ケージレスト(絶対安静 4〜6週間)
消炎鎮痛剤(NSAIDs, ステロイド)
筋弛緩剤
リハビリ(レーザー治療、温熱療法)
★ 軽度のヘルニアなら約80%が回復可能
(ただし再発の可能性が高い)
② 外科手術(椎間板摘出術) *グレード4・5向け
緊急手術が必要な場合
痛覚消失(グレード5)
尿失禁がある
内科治療で改善しない
主な手術方法
片側椎弓切除術(ヘミラミネクトミー)
腹側椎間板切除術(ベントラルスロット)
★ 成功率
グレード4 → 90%回復
グレード5 → 24時間以内の手術なら50〜60%回復
(48時間以上経過すると成功率が低下)
5. 予防と生活管理
予防策
✅ 過度なジャンプ・階段の使用を避ける
✅ 肥満防止(体重管理)
✅ 適度な運動で筋力を維持
✅ サプリメント
日常生活のケア
🏡 滑りにくい床にする(マットを敷く)
🛏 高いところに登らせない(ソファ・ベッドなど)
🚶 歩行リハビリで筋力を維持
🐶 痛みがある場合はすぐに獣医師へ相談
オゾン療法と針治療の併用で、グレード3以下の場合、改善率は90-100%に近いです。
しかし、正確な診断が重要になります。似たような病気や、血栓症、ガンなどの場合もあるからです。
グレード4以上でも、手術が難しい場合、内科治療、オゾン療法、鍼治療の併用で、改善率は、80%程度というところです。
グレード5では、歩行機能が改善するかどうかは50%程度まで効果は落ちます。
グレード4、5の場合(あるいはグレード3であっても)、症状が進行することがあるので注意が必要です。
良くなっても、犬種、体質、運動、食事、環境要因も影響しますので、予防、再発予防にはもう一度生活を見直していく必要があります。