強心剤が「がん転移の根源」となる細胞を封じる
富山大学の研究グループは、がん転移の根源である血中循環がん細胞(CCC)の生存に、がん細胞に異常発現するα3型ナトリウムポンプが不可欠であることを発見しました。
このポンプは、原発巣にあるがん細胞では細胞内に存在しますが、CCCでは細胞膜に移動し、転移能力を支える役割を果たします。
この仕組みに対し、強心剤ジゴキシンがα3型ナトリウムポンプに作用し、その移動を阻害することでCCCを死に至らせ、転移を抑制することが動物実験で示されました。
この成果は、がんの転移を防ぐ新たな治療戦略の可能性を提示するものです。研究成果は2025年5月11日に英国科学誌『Cell Death & Disease』に掲載されました。