犬の乳がんに対するイベルメクチンとメトホルミンの相乗的な抗腫瘍効果
PI3K/AKT/mTOR経路阻害による犬の乳がんに対するイベルメクチンとメトホルミンの相乗的な抗腫瘍効果
Synergistic Antitumor Effects of Ivermectin and Metformin in Canine Breast Cancer via PI3K/AKT/mTOR Pathway Inhibition.
- Current issues in molecular biology. 2025 May 29;47(6); pii: 403.
イベルメクチン(IVM)はマクロライド系抗寄生虫薬であり、メトホルミン(MET)はビグアナイド系経口血糖降下薬である。研究では、両薬剤に明らかな抗腫瘍効果が認められていますが、犬の乳がんに対する併用療法に関する報告はあない。本研究では、犬の乳がんに対する薬剤併用療法の有効性と可能性のある機序を調査することを目的とした。マウス乳がん細胞(4T1)と犬乳がん細胞(CMT-1211)をそれぞれIVM、MET、およびその組み合わせで処理し、細胞生存率を評価した。その後、抗腫瘍効果に関する薬剤組み合わせの作用経路を解明するため、トランスクリプトーム解析を実施した。反応性酸素種(ROS)のレベルはフローサイトメトリーで測定され、オートファゴソームの形成は透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された。免疫蛍光法により、LC3BとP62の細胞質から核への移行が検出された。ウェスタンブロットにより、LC3B、P62、Beclin1、Bcl-2、p-PI3K、p-AKT、およびp-mTORのタンパク質発現が検出された。当研究のトランスクリプトーム解析では、IVMとMETの組み合わせが、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路を含むオートファジー関連遺伝子および経路の発現を調節することが示された。in vitro実験では、2つの薬剤の組み合わせは、各薬剤単独と比較して、細胞毒性、ROSレベル、およびオートファゴソームの形成に対して著明な効果を示した。一方、in vivo実験では、IVMとMETの組み合わせが犬の乳がん移植腫瘍における腫瘍の成長に明らかな抑制効果を示した。本研究は、IVMとMETがオートファジーを活性化し、PI3K/AKT/mTOR経路の活性化を抑制し、ROSの過剰蓄積を促進することで乳がん細胞を死滅させることを示した。これにより、METとIVMの相乗効果による乳がん細胞の活性抑制の理論的基盤が提供された。