ペットオゾンサミット2025③
「オゾンの広範な効果:ペットの健康を自然に高める」
概要
バード先生は、カリフォルニア州モローベイの統合獣医クリニックで診療を行い、オゾン療法がいかに幅広い疾患や健康維持に役立つかを紹介。講師はオゾンを中心に、中医学・鍼治療・栄養・再生医療を組み合わせた統合的アプローチを実践している。
- オゾンの歴史と性質
- オゾンは1840年代に発見され、19世紀から水の殺菌に利用されてきた。
- ニコラ・テスラもその殺菌効果と健康効果に注目し、「テスラ・オゾン社」を設立。医療用オゾンデバイスの開発を行った。
- 分子構造は酸素3原子(O₃)で構成され、水に高い溶解性を持つ。
- 科学的作用機序
(1)抗炎症・鎮痛
- 炎症部位では二酸化炭素濃度が高くなり痛みや腫れを引き起こす。
- オゾンにより酸素供給を増やすことで炎症と疼痛を軽減。
(2)免疫系の活性化
- サイトカイン(インターフェロン・インターロイキンなど)の産生を促進し、免疫反応を調整。
- グルタチオンペルオキシダーゼ等の抗酸化酵素を増やし、細胞膜の防御能を強化。
(3)抗菌・抗ウイルス・抗真菌作用
- 細菌やウイルスの細胞膜・カプシドを酸化的に破壊する。
- 真菌の増殖も抑制。慢性皮膚炎や耳感染などに有効。
(4)酸素代謝の促進
- 赤血球の酸素放出能(2,3-DPG上昇)を高め、組織の酸素利用を改善。
- クエン酸回路(クレブス回路)を活性化し、ATP産生を増加させる。
- 臨床応用と症例
- 重度皮膚感染(犬)
抗生物質耐性菌による広範な皮膚壊死に対し、オゾンバッグ療法・レーザー・中薬併用で急速に治癒。外科閉鎖可能な状態に改善。
- 急性出血性腸炎(犬)
クロストリジウム感染による下痢に対し、直腸オゾン+中薬+食事療法で10回の治療後に完全回復。
- 慢性外耳炎
オゾンカッピングとレーザー照射を組み合わせ、耐性菌性の耳炎が改善。
- 歯科治療
オゾン水を洗浄・抜歯部位に使用し、炎症と感染を防止。オゾン化オイル/グリセリンを在宅ケアにも利用。
- 腎疾患・感染症・高齢犬猫
皮下・直腸オゾン投与やオゾン化液点滴で腎機能・食欲・活力が改善。
- 再生医療(PRP+オゾン)
PRP(多血小板血漿)注射にオゾンを併用し、腱障害・関節炎などの疼痛と炎症を軽減。手術回避例もあり。
- 腫瘍症例(リンパ腫・脾臓腫瘍・骨肉腫など)
- オゾン+オゾン化グリセリン(腹腔内注射またはネブライザー)で疼痛緩和・腫瘍縮小・生活の質改善。
- 特に脾臓腫瘍や肝腫瘍で延命・QOL向上を報告。
- その他の応用
- 糞便移植:腸内フローラ異常に対し、オゾン水浣腸で洗浄後に施行。
- 子犬・子猫:免疫力低下予防や腸内環境改善にオゾン療法を応用。
- 口腔癌(扁平上皮癌):局所注射・オゾン化グリセリンの噴霧などで疼痛軽減。
- Q&A の要点
- 中薬:代表的な抗腫瘍処方は「瘀血破り(Stasis Breaker)」と「気補剤(Qi Booster)」など。
- オゾン化グリセリンは腸炎やリンパ腫にも有効。
- オゾン水の飲用も可能だが、生成直後の吸入には注意。味の面ではオゾン化グリセリンの方が好まれる。
- 「ジョー・ティピンズ療法」:フェンベンダゾール+クルクミン+ビタミンE+CBDの併用。
- 出血傾向や白血病症例にも慎重にオゾン療法を実施すれば有用。
- 結論
オゾン療法は抗菌・抗炎症・免疫調整・再生促進の多面的作用を通じ、
慢性疾患・感染症・腫瘍・老化疾患などあらゆる動物疾患に応用可能。
安全かつ自然な治療として、統合医療の中核的役割を果たす可能性が示された。
