ペット腸サミット2025⑰
犬の消化器・腸トラブルを見分ける方法
Dr. Angelique Barbara
概要
犬の消化器・腸の問題は、軽い胃の不調から命に関わる深刻なものまで幅広く存在します。
症状には、嘔吐、下痢、体重減少、腹痛などがあり、原因には食事の変化、ストレス、アレルギー、感染症、誤飲などが含まれます。
早期発見と適切なケアが重要です。
1. 嘔吐と逆流の違い
-
嘔吐(vomiting):腹部の収縮を伴い、消化された内容物が含まれる。
-
逆流(regurgitation):収縮を伴わず、未消化の食べ物が出る。
-
原因:感染症(例:パルボウイルス)、異物摂取、食事の急な変更など。
2. 食事の役割とアレルギー
-
食事変更は徐々に行うこと。急激な変更は下痢や便秘を引き起こす。
-
玉ねぎやチョコレートなどは厳禁。
-
食物アレルギーは皮膚症状だけでなく、下痢・嘔吐の原因にもなる。
-
獣医による食事プランの見直しが有効。
3. 下痢(Diarrhea)
-
原因:
-
細菌感染(パルボウイルスなど)
-
食物アレルギー
-
ストレス(環境変化、新しいペットなど)
-
-
重症例では脱水に注意し、点滴治療が必要なことも。
-
繰り返す下痢は、慢性的ストレスや食事問題の可能性がある。
4. 便秘(Constipation)
-
嘔吐や下痢より頻度は少ないが、放置は危険。
-
食物繊維(かぼちゃ、さつまいも)や水分を十分に与えること。
-
運動不足も原因の一つ。
-
原因:異物、前立腺肥大、薬の副作用、脱水、代謝異常など。
-
治療:食事改善、水分補給、重度なら外科的処置。
5. リーキーガット症候群(Leaky Gut Syndrome)
-
腸の炎症により、栄養吸収が低下。
-
原因:
-
低品質なドッグフード(トウモロコシ、大豆、小麦、グルテン、肉副産物など)
-
慢性的なストレス(引っ越し、新しい環境など)
-
-
症状:体重減少、下痢、食欲変化、よだれ増加。
-
安定した生活環境と適切な食事が予防に重要。
6. 品種別の消化器問題
-
ジャーマン・シェパード:
-
外分泌性膵不全(EPI)が多く、消化酵素不足で栄養吸収不良を起こす。
-
胃拡張捻転症(GDV=胃捻転)にも注意。
-
-
グレート・デン:
-
胸が深いためGDVのリスクが非常に高い。
-
予防:少量の食事を数回に分ける、食後の運動を避ける。
-
7. 結論
犬の消化器トラブルは、
-
嘔吐・下痢・便秘などのサインを早く見つけること
-
食事とストレス要因を見直すこと
-
品種特有のリスクを理解すること
が大切です。
バランスの取れた食事、清潔な環境、ストレス管理が長期的な腸の健康維持に不可欠です。
