ペット腸サミット2025㉑

Food Therapy to Support GI Health and Decrease Inflammation

Dr. Susan Bohrer 

概要

かつて元気だった犬が、次第に元気を失い、体重減少や不快感を示すことがあります。従来の獣医療では原因が特定できないこともありますが、「食事療法(Food Therapy)」が、消化器疾患や炎症性疾患(IBD、膵炎など)の改善に有効であると注目されています。


1. 犬における食事療法とは

食事療法は**伝統中国医学(TCM)**の一部で、**気(Qi)**の流れを整えることで健康を維持します。
気が整うと消化が良くなり、腸内環境(マイクロバイオーム)が改善し、炎症も減少します。

  • **湿(Dampness)と痰(Phlegm)**は不適切な食事から生じ、下痢・便秘・体重変化・皮膚の脂っぽさなどの症状を引き起こします。


2. 犬の食事の進化

初期は残飯や粗悪な材料が主でしたが、現在は高品質な食材を用いた食品が登場しています。

  • 生食(Raw):自然酵素が残るが、病原菌リスク(サルモネラなど)あり。

  • 加熱食(Cooked):消化吸収が良く安全だが、栄養損失の懸念。

  • グレインフリー・ホリスティックフード:アレルギー対応、天然素材使用、プロバイオティクスや抗酸化成分を含むものが増加。


3. バランスの取れた食事の重要性

犬の健康はバランスの取れた栄養に依存します。

  • ビタミン・ミネラル:A、B群(特にB12)、C、D、E、鉄、カルシウム、セレンなどが必須。

  • タンパク質:チキンなど高消化性のものが良いが、アレルギーのある場合は鹿肉やウサギなど新奇タンパク質が適します。

  • 腸内フローラ:プロバイオティクス(乳酸菌など)により善玉菌バランスを保つことが鍵。


4. 食事療法による消化器疾患の改善

腸内環境の乱れはIBSやIBDの原因になります。
改善のためには:

  • 加水分解タンパク質など、消化しやすい食材を使用。

  • プロバイオティクス消化酵素の補給。

  • 高栄養密度食:オメガ6などの脂肪酸、良質タンパク、食物繊維、ビタミン・ミネラルを含む。

犬ごとに最適な栄養は異なるため、個別カスタマイズされた食事設計が理想的です。


5. 結論

食事療法は一時的な流行ではなく、犬の腸の健康や炎症抑制における重要な治療ツールです。

  • 全粒・未加工食品を選ぶ

  • Qiバランスに合った食材を選択(例:膵炎には七面鳥や卵白など「冷性食材」)

  • 腸内環境を整えることで全身の健康が向上する

**「食をもって薬となす」**という理念のもと、犬の健康を支える新しい形の統合栄養療法です。