ペット腸サミット2025㉕
Toxic Effects of Glyphosate on the Microbiome
Dr. Christina Chambreau
グリホサートとその普及
グリホサートは、世界で最も広く使用されている除草剤の一つであり、農業や造園だけでなく家庭の芝生にも頻繁に使用されている。
しかし、その使用によってグリホサートは環境中に広く拡散しており、**雨水の約70%**からも検出されているという報告がある。
このため、私たちやペットは知らず知らずのうちにグリホサートにさらされている可能性が高い。
腸内マイクロバイオームへの影響
Dr. Christina Chambreau は、グリホサートが腸内の有益菌(特に Enterococcus、Bacillus、Lactobacillus など)を殺してしまうことを強調している。
これにより、腸内の細菌バランスが崩れ(=ディスバイオシス)、犬や猫では慢性的な下痢、便秘、消化不良などが引き起こされる可能性がある。
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直接的な影響: 有益菌の死滅により、病原菌の増殖を抑える機能が低下する。
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間接的な影響: 種の多様性が損なわれ、腸内環境の恒常性が崩れる。
研究によると、菌種によってグリホサートへの感受性が異なり、特定の有益菌が特に影響を受けやすいことが分かっている。
生化学的な影響
グリホサートは植物の**シキミ酸経路(shikimate pathway)**を阻害するが、この経路はバクテリアや真菌にも存在する。
この経路の阻害により、芳香族アミノ酸(トリプトファン、フェニルアラニンなど)の合成が妨げられる。
結果として、動物の栄養摂取やタンパク質合成にも間接的な影響を与える。
さらに、腸の蠕動運動(peristalsis)にも干渉し、慢性的な便秘などの問題を起こす可能性がある。
著者はこれを「腸内の交通渋滞」と例え、消化器の流れが滞ると説明している。
結論
グリホサートは単なる除草剤ではなく、環境中に広く残留し、動植物およびペットの健康に長期的な影響を与える可能性がある。
特にペットにおいては、腸内細菌叢のバランスの崩壊、必須アミノ酸の不足、腸の運動機能障害といった複合的なリスクが存在する。
したがって、ペットの食事や生活環境におけるグリホサート曝露を最小限に抑えることが重要である。
