犬のアレルギー⑦

このセッションでは、3人の専門獣医師(カサラ・アンドレ博士、エリック・アマゾナス博士、ジョアン・ロレンソ・ハスケル・ゲヴェール博士)が、犬のアレルギー治療におけるカンナビス(大麻草成分)やCBDオイルの可能性について討論しています。

 

注:日本においてはCBDの使用は規制されています。

 

記事タイトル:犬のアレルギー治療の新境地——カンナビスとCBDがもたらす可能性

  1. はじめに:エンドカンナビノイド・システム(ECS)とは

カンナビスの有効性を理解する鍵は、動物の体内に備わっている「エンドカンナビノイド・システム(ECS)」にあります。

  • 全身のバランス調整: ECSは、免疫系、神経系、皮膚の健康など、体内のあらゆるバランスを整える「司令塔」のような役割を果たしています 。
  • アレルギーとの関係: アレルギーがある犬では、このECSのバランスが崩れていることが多く、カンナビス成分を補うことで免疫の過剰反応を鎮めることが期待されます 。
  1. アレルギーに対する具体的な効果

パネルディスカッションでは、以下の3つの主要なメリットが挙げられました。

  • 抗炎症作用: 皮膚の赤みや腫れを抑える強力な抗炎症効果があります 。
  • 痒みの軽減(止痒作用): 神経系に働きかけ、脳に伝わる「痒み」の信号をブロックすることで、犬の不快感を和らげます 。
  • バリア機能のサポート: 皮膚表面の健康を維持し、外部刺激に強い体質作りを助けます 。
  1. 西洋医学との統合(併用)

カンナビスは他の薬を完全に置き換えるものではなく、統合的な治療の一部として機能します。

  • 薬の減量: ステロイドや他の抗アレルギー薬と併用することで、それらの薬の投与量を減らし、副作用のリスクを軽減できる可能性があります 。
  • QOL(生活の質)の向上: 痒みによるストレスや不安を和らげる「リラックス効果」も、アレルギー管理において大きな利点となります 。
  1. 安全性と製品選びの注意点

カンナビスを使用する際には、医学的な知識に基づいた正しい選択が不可欠です。

  • THCCBDのバランス: 精神作用のあるTHCの含有量には注意が必要であり、獣医師の指導のもとで適切な比率の製品を選ぶべきです 。
  • 品質の重要性: 重金属や農薬が含まれていない、第三者機関でテストされた信頼できる製品(フルスペクトラムやブロードスペクトラムなど)を選ぶことが強調されています 。
  1. 専門家からのメッセージ

パネリストたちは、カンナビスを「単なる流行」ではなく「科学的根拠に基づいた新しい治療の選択肢」として捉えるべきだと述べています。

  • 個別化されたアプローチ: 犬によって最適な用量や反応が異なるため、専門の獣医師と相談しながら進めることが成功の鍵です 。