日本におけるCBDの現状

医療用大麻およびCBDの科学的エビデンス

CBDの薬理作用と臨床応用
CBDは、大麻草に含まれる主要なカンナビノイドの一つで、精神活性作用を持つTHC(テトラヒドロカンナビノール)とは異なり、精神作用がないとされています。そのため、CBDは多くの疾患に対する治療効果が期待されています。

てんかん:CBDは、小児の難治性てんかんに対する治療薬「エピディオレックス」として、米国FDAや欧州で承認されています。

神経疾患:アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、ハンチントン病などの神経変性疾患に対する効果が示唆されています。

精神疾患:不安障害、統合失調症、抑うつなどの精神症状に対する有用性が報告されています。

疼痛および炎症:慢性疼痛や炎症性疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患などに対する効果が期待されています。

がん:CBDは、がん細胞の増殖抑制や転移抑制、アポトーシス誘導などの抗腫瘍作用が報告されています。

これらの効果は、主に動物実験や培養細胞を用いた研究によって示されていますが、ヒトでの臨床試験はまだ限定的であり、さらなる研究が必要とされています。

日本における医療用大麻の規制とCBDオイルの現状
法規制の概要
日本では、これまで大麻取締法により、大麻草の茎および種子以外の部位(葉、花、根など)の使用が禁止されていました。しかし、2024年12月12日に施行された法改正により、以下のような変更がありました。
「部位規制」から「成分規制」へと変更され、製品中のTHC含有量に基づいて規制されるようになりました。

THCの残留限度値の設定:製品形状に応じて、以下のようなTHCの残留限度値が設定されました。
厚生労働省
水溶液:0.1ppm(0.00001%)
その他:1ppm(0.0001%)
これらの基準を超える製品は、「麻薬」として取り締まりの対象となります。

CBDオイルの現状
日本国内で販売されているCBD製品の多くは、海外から輸入されたものであり、厚生労働大臣の許可が必要です。また、製品中のTHC含有量が基準値以下であることが求められます。

CBD製品は、健康食品や化粧品として分類されており、医薬品としての承認は得られていません。そのため、治療や治癒を目的とした使用は認められていません。

なお、CBD製品の使用者に対する調査では、不安、不眠、抑うつなどの精神症状や慢性疼痛に対して一定の有効性が自覚されていることが示されています。