がん予防効果のある糖質
がんを遠ざける糖質3選
がん予防を意識する際、「糖質」と聞くと少し驚くかもしれません。
しかし、すべての糖質が悪いわけではなく、特にがん予防効果が期待される糖質もあります。
それぞれの糖質は、腸内環境の改善や抗酸化作用、免疫強化に役立つものです。
1. フルクトオリゴ糖
▶ 含まれる食品:
(玉ねぎ、ニンニク:人間のみ)
ゴボウ
アスパラガス
バナナ
▶ 期待される効果:
フルクトオリゴ糖はプレバイオティクスとして腸内の善玉菌のエサになり、腸内フローラを改善します。
腸内環境が良好になると、炎症性物質の生成を抑制し、免疫力が向上。これが大腸がん予防に役立つことが研究で示されています。
2. レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)
▶ 含まれる食品:
冷えたご飯(おにぎり、寿司)
さつまいも
じゃがいも
バナナ(未熟なもの)
▶ 期待される効果:
レジスタントスターチは消化されにくいでんぷんで、腸内で短鎖脂肪酸(酪酸)を生成します。この酪酸には、腸粘膜の健康維持、炎症の抑制、そしてがん細胞のアポトーシス(自滅)促進効果があるとされています。
ポイント
特に大腸がん予防に効果が期待されます。
冷えたご飯の方がレジスタントスターチの量が増えます。
3.「ケストース」とがん予防の関係
**ケストース(Kestose)**は、フルクトオリゴ糖(FOS)の一種で、プレバイオティクスとしての働きを持つ糖質です。プレバイオティクスは腸内の善玉菌(特にビフィズス菌)を増やし、腸内環境を改善することで、がん予防に役立つことがわかっています。
<ケストースが膵がん患者の予後に好影響を与える研究結果>
藤田医科大学は、プレバイオティクスの一種であるケストースが膵がん患者の腸内環境を改善し、予後に好影響を与える可能性を示す研究を行いました。
主な研究結果
ケストースを12週間投与した膵がん患者で、腫瘍マーカー(CA19-9)が有意に減少
炎症マーカー(CRP)の増加が抑制され、栄養状態の改善も確認
腸内の悪玉菌(大腸菌)が顕著に減少し、腸内細菌叢の乱れが改善
背景
膵臓がんは進行が早く、化学療法への反応率が低いため治療が困難ながんの一つです。腸内細菌叢の乱れが治療効果に影響を与えるため、腸内環境の改善が新たな治療アプローチとして注目されています。
今後の展望
ケストースを用いた食事療法と化学療法を組み合わせる新たな治療法の確立が期待されており、今後の大規模かつ長期的な臨床試験でその効果がさらに検証される見込みです。
番外編
黒糖」と「がん予防」の関係
黒糖は、白砂糖よりも栄養価が高く、特にミネラルやポリフェノールが豊富です。最近の研究では、黒糖に含まれる抗酸化物質が、がんの予防に寄与する可能性があることが示唆されています。
ただし、がん予防効果を期待するには、適量を守ることが重要です。過剰な糖分摂取は、肥満や糖尿病を引き起こし、これらががんのリスク要因となるため、注意が必要です。
黒糖のがん予防におけるポジティブな側面
1)抗酸化作用が強いポリフェノール
黒糖は、精製されていないため、天然のポリフェノールが豊富です。
黒糖には、サポナリン、スカフトシド、イソスカフトシドなどのポリフェノールが含まれています。唾液を分泌する効果があります。
また、黒糖を黒褐色にしている成分であるメラノイジンは抗酸化物質で、健康を維持する機能について多くの研究が行われています。
2)ビタミンB群とミネラルが豊富
3) 腸内環境の改善効果
黒糖はオリゴ糖を含んでおり、腸内の善玉菌のエサになります。
腸内環境の改善は、大腸がんをはじめとする消化器系のがんリスクを低下させることがわかっています。
注意点:黒糖も「糖分」であることを忘れずに!
黒糖は、白砂糖より健康的とはいえ、糖分であることには変わりありません。
× 黒糖の過剰摂取は、逆効果になる可能性がある
過剰な糖分摂取は、インスリン抵抗性を引き起こし、肥満や慢性炎症のリスクを高めます。
肥満は、がんのリスク要因(特に乳がん、子宮内膜がん、大腸がんなど)です。
適度な黒糖摂取を、健康的な食生活の一部として取り入れると、がん予防につながる可能性があります。