エビデンスに基づく動物の鍼治療①

https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/036012932010035003026

Impact Factor 0.2

First published online August 1, 2010

Veterinary Scalp and Tail Acupuncture based on the Organ Representation Concept
Noriko Shimizu, D.V.M.
Volume 35, Issue 3-4

抄録

獣医頭鍼療法は、動物への鍼治療における新しい概念です。獣医頭鍼療法と獣医尾鍼療法の2つの部分に分かれています。頭鍼療法は、1970年代に山本敏勝博士によって開発された、人間の頭皮を鍼治療で治療する新しい概念である山本式新頭鍼法(YNSA)に基づいています。YNSAは、耳への耳介療法などの器官表現概念に分類される中国頭皮鍼療法とは全く異なる体系です。身体における体性表現は、一般的にソマトトープと呼ばれます。
2000年、山本敏勝先生の指導の下、犬猫を対象としたYNSAシステムの研究を始めました。5年間の臨床研究を経て、犬猫にもYNSAシステムが存在することを発見しました。YNSAの概念は、犬猫の筋骨格系および神経系疾患の治療に有用かつ効果的でした。
YNSAシステムは犬や猫の上半身の治療には効果的でしたが、下半身に関しては効果が不十分で、それを補うために別のソマトトープが必要でした。幸運にも、尾と臀部周辺に別のソマトトープを見つけることができ、それを「尾鍼」と名付けました。
獣医頭皮鍼と獣医尾鍼はどちらも臓器代表概念、すなわちソマトトープに基づいています。頭皮鍼は頭皮に、尾鍼は尾の周りに施すなど、この2つのシステムは互いに補完し合うことができるため、両方のシステムを併用することで、単独で使用するよりも効果が高まります。
犬および猫における獣医頭鍼および尾鍼療法の適応は次のとおりです。

1.筋骨格系疾患: 関節炎、環軸椎不安定症、変形性関節症、股関節形成不全、椎間板疾患、軟部組織損傷など。
2.神経疾患:昏睡、てんかん、老年性前庭症候群、水頭症、末梢神経障害、後麻痺症候群、脊髄障害、三叉神経痛など。
3.呼吸器疾患:喘息、短頭種気道症候群、鼻咽頭狭窄など
4.首周りのリンパ節腫脹、口内炎など