ペットオゾンサミット2025①
2025/10/25に米国アメリカでPet Ozone Summit 2025(O3Vets社主催)がオンラインで開催されました。
講演の一部をダイジェストで紹介します。
「Ozone at Home ― 在宅でのオゾン」
トリッシュ・カレンバッハ先生
1. 自己紹介とクリニックについて
トリッシュ・カレンバッハ先生は、フロリダ州クリスタルリバーで
「The Healing Place(癒しの場)」という動物と人のための
ホリスティック・クリニックを運営しています。
獣医師でありながら、マッサージセラピスト、カウンセラー、
パーソナルトレーナーなど、心と体の両面から健康を支える資格を持ち、
自然療法やオゾン療法を組み合わせたやさしい治療を行っています。
2. オゾン療法とは
オゾン(O₃)は、酸素の一種であり、体内で分解されると酸素(O₂)になります。
ほんの少しの刺激(酸化作用)が、体の免疫力や血流を高め、
細胞の働きを活性化させることが知られています。
先生はこの特性を生かし、「体が自分で治る力を取り戻す治療」として
オゾン療法を中心に据えています。
3. ご家庭でもできる方法
カレンバッハ先生の治療は、手術や入院を必要としない外来と在宅ケアが中心です。
使用する主な方法は次のとおりです:
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直腸注入法:少量のオゾンを肛門から注入し、体の中に酸素を届ける方法。
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バッグ法/耳カップ法:患部や耳を袋状に密閉してオゾンをあてる方法。
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オゾン化水やオイル:水やオイルにオゾンを溶かして洗浄や塗布に使用。
これらの方法は、皮膚病・炎症・腸トラブル・免疫疾患・がん・高齢ケアなど
幅広い動物に応用できます。
4. 効果のあった症例
先生のクリニックでは、従来の治療で良くならなかった動物が多く訪れます。
たとえば:
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長引く膿瘍の犬:抗生物質で治らなかったが、オゾン治療で2週間で完治。
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皮膚型リンパ腫の犬:全身に腫れがあったが、3週間で劇的に改善。
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自己免疫性皮膚潰瘍の犬:ステロイドが効かず、オゾン治療2週間で完治。
どの症例も、体の治る力を取り戻すことで自然に回復しました。
5. 治療の進め方と安全性
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一般的には週に3回(例:月・水・金)から始め、体調に合わせて調整。
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体への刺激が強くならないよう、少しずつ様子を見ながら進める。
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オゾンは完全に滅菌作用をもつガスなので、感染の心配はほとんどありません。
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腸内細菌への影響も少なく、むしろ免疫バランスを整える助けになります。
6. 慢性疾患や高齢動物にも
オゾン療法は、慢性腎臓病(CKD)やがんの動物にも有効で、
「病気を治す」というよりも「今の状態を長く安定させる」ことを目指します。
たとえば、腎臓病の猫が数年間元気に過ごしたり、
17歳の犬が10歳のころから週2回の治療で健康を保っている例もあります。
7. まとめ ― オゾン療法は“健康を育てる医療”
オゾン療法は「治療」だけでなく、「健康を守る日常のケア」です。
体が本来持っている力を思い出させ、バランスを整えるサポート。
カレンバッハ先生は、
「オゾンは病気と闘うためのものではなく、体を整え、元気を育てるためのもの」
と話しています。
それはまさに、”ペットと人がともに長く健やかに暮らすための“ウェルネス療法”です。
