ペット腸サミット2025③

犬の腸と消化器トラブルを見抜くために

Dr. Angelique Barbara(アンジェリーク・バーバラ先生)

犬は一生のうちに何らかの消化器トラブルを経験する可能性が高い。軽度の嘔吐や軟便から、脱水や栄養吸収不良を伴う重度のケースまで、原因は多岐にわたる。博士は、消化不良のサインを早期に見抜き、根本的な原因にアプローチする重要性を強調している。


主な症状とその原因

  • 嘔吐・下痢:感染、異物摂取、食事変更、薬剤、肝腎疾患、膵炎など。
    → 便の性状や頻度を観察することで、小腸性か大腸性かを推測できる。

  • 逆流:胃に届く前の食道からの吐出。

  • 便秘:運動不足や脱水、前立腺肥大などが原因。

  • 胃食道逆流症(GERD):食後のむせ、よだれ、体重減少、食欲不振が特徴。


隠れた原因 ― 腸の透過性異常(リーキーガット症候群)

腸の上皮バリアが損傷し、毒素や細菌が血中へ漏れ出すことで全身性の炎症を引き起こす。
原因:加工食品、ストレス、薬剤の過剰使用、抗生物質後の腸内細菌バランスの乱れ。
症状:慢性下痢、皮膚炎、甲状腺機能低下、行動変化(攻撃性・異食・不安など)まで多様。


診断と治療のステップ

  1. 検査:血液・尿・糞便検査、GIパネル、画像診断、内視鏡などで原因を特定。

  2. 食事療法:加工フードを避け、**生食(Raw Diet)**や自然食への移行。

  3. 腸内環境の改善:プレバイオティクス+プロバイオティクスの併用。

  4. 生活管理:ストレス軽減、運動、薬剤・化学物質の削減。


実例:ミニチュアピンシャー「マックス」

肥満・甲状腺機能低下・クッシング症候群・歯周病など多病を抱えた保護犬。
治療:生食+中医学ハーブ+抗酸化物質+運動療法+カイロプラクティック。
結果:数日で便が安定、1か月で皮膚・被毛が改善し体重も正常化。


まとめ

犬の腸は「健康の鏡」。
嘔吐・下痢・皮膚炎・行動変化などのサインを見逃さず、食事・腸内環境・ストレスの3本柱を整えることで、犬の自然治癒力が引き出される。
Dr. Barbara は「腸を癒せば全身が整う」と結論づけている。