ペット腸サミット2025⑦
犬の下痢に対するホリスティックアプローチ
Dr. Peter Dobias
犬が下痢をすると、飼い主にとってもつらいものです。犬の消化器系の不調はエネルギーや全身の健康に影響しますが、ホリスティック(全体的)なアプローチで根本的に改善できます。この方法は単なる症状の抑制ではなく、腸内環境のバランスや免疫、食事、ストレス、運動など「全体」を整えることを目的とします。
1. 下痢の理解と腸内環境の関係
下痢は、体内の毒素や不要物を排出しようとする生理的反応でもあります。腸内には善玉菌と悪玉菌のバランスがあり、このバランスが崩れると消化不良や下痢を引き起こします。
一時的(急性)の下痢は食べ物やストレスが原因のことが多く、数日で治まりますが、長引く(慢性)下痢は、食物アレルギー、寄生虫、炎症性腸疾患(リーキーガットなど)の可能性があり、早期の対処が必要です。
2. 食事とプロバイオティクスの重要性
食事は最も重要な要素です。犬の本来の食性に合った生食(ローフード)は、酵素や栄養素が豊富で、腸内の炎症やアレルギー反応を軽減します。
また、プロバイオティクス(善玉菌補給)も有効で、腸内フローラの回復に役立ちます。重症例では**糞便移植(FMT)**が行われることもあります。
ただし、犬の個体差が大きいため、食事変更やサプリ導入の際は専門家に相談が必要です。
3. 24時間断食と再導入食
Dr. Dobiasは「24時間の断食」を推奨します。
これは消化器を休ませ、腸内のリセットを促す方法です。断食中は十分な水分を与え、脱水を防ぎます。
断食後は、次の食材を少量ずつ与えます:
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調理したかぼちゃやバターナッツスクワッシュ:食物繊維で便を整える
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脂肪分の少ない肉のスープ(鶏・牛):腸の修復を助けるコラーゲンを含む
ただし、小型犬・老犬・子犬は断食が負担になるため注意が必要です。
4. 重症例と脱水への注意
血便や嘔吐を伴う場合、48時間以上改善がない場合、または食欲・元気がない場合は、獣医師の診察が必要です。脱水が進むと命に関わるため、点滴で水分・電解質を補うことが求められます。
症状のサインとしては、乾いた歯茎・沈んだ目・無気力などが挙げられます。
5. まとめ
犬の下痢対策では、腸内環境の改善、適切な食事、ストレス管理、運動、そして必要時の獣医ケアが鍵です。
Dr. Dobiasの提唱するホリスティックアプローチは、犬の自然治癒力を最大限に引き出す方法として有効です。
