ペット腸サミット2025⑮
From the Inside Out – Gut Health in Dogs
Dr. Betsy Redmond
概要
このガイドは、犬や猫の腸の健康(Gut Health)を総合的に理解し、食事・生活習慣・検査指標を通して改善するための実践的な内容をまとめたものです。著者はDr. Betsy Redmond(Ph.D., 栄養学・臨床検査科学者)で、ペットの腸内環境を科学的視点から解説しています。
第1章:ペットの腸の健康を理解する
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、栄養吸収・免疫応答・代謝制御の中心的役割を担う。
特に注目すべきは腸内マイクロバイオーム(微生物叢)で、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると健康全体に影響が及ぶ。
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善玉菌の例:Bifidobacterium animalis(ビフィドバクテリウム・アニマリス)は犬の免疫・消化に有益。
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腸粘膜(Mucosal Lining):血流に入る物質を制御する“門番”のような役割。
→ ストレスや低品質な食事はこのバリアを破壊する。
ポイント:
「腸内フローラ=庭」、プロバイオティクスや繊維質食品はその“肥料と水”に相当する。
第2章:犬によく見られる腸の疾患
代表的な疾患は炎症性腸疾患(IBD)とリーキーガット症候群。
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IBD(Inflammatory Bowel Disease)
免疫系が腸組織を攻撃し、慢性的な嘔吐・下痢・体重減少を起こす。
特にフレンチブルドッグなど特定犬種で発症率が高い。
原因は食物アレルギー、腸内細菌異常、寄生虫など。 -
リーキーガット症候群(Leaky Gut Syndrome)
腸粘膜が損傷し、未消化物質や毒素が血中へ漏れ出す状態。
免疫低下や自己免疫疾患の誘発リスクが高まる。
引用(Redmond博士):
「腸細胞の健康が損なわれると、あらゆる問題が連鎖的に発生します。」
第3章:腸の異常を見つける指標
腸の炎症や消化不良を見極めるための検査マーカー。
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Calprotectin(カルプロテクチン):
腸内炎症のマーカー。便中濃度上昇は炎症を示唆。
→ “道路工事のコーン”のように、トラブルの発生を警告する。 -
Pancreatic Elastase(膵エラスターゼ):
膵外分泌機能の評価指標。200 µg/g未満で重度の膵機能低下を示す。
第4章:腸の健康を支える食事
腸の健康はバランスのとれた栄養摂取に依存する。
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重要栄養素:
消化性・非消化性の繊維、酵素、プロバイオティクス、ビタミン、ミネラル。 -
避けるべき食品:
人工添加物・過度に加工されたペットフード。
→ 自然由来の食材(新鮮な果物・野菜)を取り入れる。
要点:
「腸の善玉菌を育てるには、“自然で未加工な食材”を。」
第5章:生活習慣による改善法
腸の健康は食事だけでなく運動・水分・ストレス管理によっても左右される。
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運動:血流と腸の蠕動を促進。
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水分:食物を柔らかくし、消化を助ける。
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ストレス対策:安心できる環境づくり・鎮静効果のあるおもちゃを活用。
要点:
「毎日の散歩+十分な水+安心できる環境=腸の健康の三本柱。」
結論
このガイドは、ペットの腸の健康を理解し、食事・生活習慣・検査を通して総合的にケアする方法を示す。
定期的な検査と観察が、ペットの幸福で長寿な生活につながる。
