ペット腸サミット2025㉓
犬の下痢に対するホリスティックな治療法
Dr. Peter Dobiasによる講演です。
1. 下痢の本質と意味
ドビアス医師は、下痢を「体が毒素や不要物を排出する自然な浄化プロセス」と位置づけています。
多くの飼い主は「下痢＝止めるべきもの」と考えがちだが、短期的・急性の下痢は体が不適切な物質（細菌、毒素など）を排出する反応であり、必ずしも悪いものではないと説明します。
2. 栄養と食事の重要性
犬の健康を支える基本は「種に適した食事（species-appropriate diet）」であると強調。
ドビアス医師は次のように述べています。
-
加工フードや穀物・木質繊維を含む食事は腸を炎症させる。
-
新鮮な**ホールフード（生または加熱調理）**が最も望ましい。
-
栄養素・ミネラルが不足すると腸粘膜（腸上皮細胞）が正常に機能しなくなる。
-
自然な食事で寿命と健康寿命が2〜3年延びる可能性がある。
3. 急性下痢への対応法
犬が一時的な下痢を起こした場合のドビアス医師の推奨：
-
24時間の絶食（パピーは短縮）
-
その後、バターナッツスクワッシュ（カボチャ）やサツマイモ＋鶏スープを与える
-
プロバイオティクスを2倍量にする（犬専用株が望ましい）
-
**活性炭（1〜4g）**で毒素吸着
-
体が冷える犬→生姜、熱い犬→クロロフィル
-
腰背部の筋緊張や脊椎の問題が腸機能を妨げることがあるため、マッサージやカイロプラクティックも有効
4. 慢性下痢・IBDの治療アプローチ
-
腸だけでなく「犬全体を俯瞰して診ること」が必要。
-
慢性下痢では抗生物質使用によるマイクロバイオームの破壊が問題。
-
回復には数か月を要することがあり、場合によっては完全に戻らない。
-
治癒サイクル：
-
不要なものを排除（加工食・毒素など）
-
栄養補給（オメガオイル・B12・ビタミン・酵素）
-
背骨の健康確認
-
必要に応じてホメオパシー（Arsenicum album, Phosphoric acid）
-
5. 他の自然療法と補助法
-
滑榆（スリッパリーエルム）：炎症を抑え、粘膜を保護し、腸を鎮める。
-
カモミールティー：腸と神経の両方を落ち着かせる。
-
毛髪ミネラル検査：重金属（ヒ素・水銀など）の蓄積やミネラル欠乏をチェックできる。
-
特に魚・米主体の食事では重金属リスクが高い。
-
6. 予防と日常ケア
ドビアス医師が挙げる腸の健康を保つ3つの柱：
-
自然なホールフード食
-
プロバイオティクス＋ビタミン・ミネラル・オメガオイルの補給
-
背骨（特に腰部）の健康維持
7. 心身のつながりと共感
-
飼い主のストレスや感情が犬にも影響する。
-
思いやりと感謝の心を持って生活することが、犬の腸の健康にも好影響を与える。