ペット腸サミット2025㉖
What Are The Risks To Dogs That Don’t Have a Healthy Gut Microbiome
Dr. Gary Richter
1. 腸内細菌叢と免疫の関係
リクター博士はまず、免疫細胞の約70〜80%が消化管に存在することを強調しています。
つまり、腸の健康が全身の免疫機能に直結しており、腸内環境が悪化するとアレルギー、自己免疫疾患、皮膚病、エネルギー低下など様々な問題が起こります。
また、腸の不調は「幸福感の低下」にもつながり、犬が“元気がない”“毛艶が悪い”といった症状にも表れます。
2. 腸内細菌バランスを乱す主因:不適切な食事
犬猫の腸内環境に最も影響するのは食事です。
博士は次のように述べています:
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猫は「完全な肉食動物(オブリゲート・カーニボア)」であり、炭水化物をほとんど必要としない。
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犬も炭水化物をある程度は消化できるが、理想的には15%以下。
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しかし、市販のドライフードは炭水化物50〜60%に達し、これが悪玉菌の増殖と炎症の原因になる。
さらに、加工フードの問題点として:
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高温高圧で製造されるためAGEs(糖化最終産物)や発がん性物質が発生。
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長期保存を目的に「死んだ栄養素」になっている。
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加工食品中心の食生活が慢性炎症・ガンのリスク増加につながる。
3. 改善の第一歩:新鮮な食事とサプリメント
博士は「悲観する必要はない」と述べ、以下のステップを推奨しています。
(1)新鮮な食事への移行
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理想は生食(ローフード)または加熱したホールフード。
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一度に変えず、2〜4週間かけて徐々に移行すること。
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特に猫は慎重に(嗜好変化に時間がかかるため)。
(2)プロバイオティクス & プレバイオティクス
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プロバイオティクス:善玉菌を直接補う。
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プレバイオティクス:善玉菌の餌となる繊維(例:ブロッコリー、カリフラワー、ケールなど)。
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両方を含むサプリが理想的。
(3)オメガ脂肪酸(特に魚油)
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抗炎症作用を持ち、細胞膜の構成に不可欠。
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アレルギーや腸の炎症の緩和にも有効。
4. その他の影響要因:水質と環境毒素
博士は栄養以外にも、水質と環境汚染が犬の健康を脅かしていると指摘します。
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水道水には塩素、フッ素、重金属、薬剤残留物が含まれている場合がある。
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対策としては逆浸透膜(RO)フィルターや天然水の使用を推奨。
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家具の難燃剤や農薬、車道の油などにより、犬は人間よりも多くの毒素に曝露されている。
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腸と肝臓を健康に保つことで、これらの毒素を体外に排出しやすくなる。
5. 健康維持のためのトップ3アクション
リクター博士が推奨する三大ポイントは以下の通り:
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できる限り新鮮なホールフードを与える
完全手作りが難しくても、「一部を生食に置き換える」だけでも効果あり。 -
プロバイオティクス+オメガ脂肪酸を毎日与える
腸と免疫の安定化、炎症の抑制に効果的。 -
水と環境の質を改善する
安全な飲料水と、化学物質の少ない生活環境を整える。
博士は最後に「犬は私たちが食事を完全にコントロールできる唯一の存在。だからこそ責任を持って最良の栄養を与えよう」と締めくくっています。
