動物病院における犬と猫の統合医療
統合医療とは
「統合医療」とは? – 厚生労働省eJIM
統合医療は、近代西洋医学を中心として伝統医学や相補・代替医療を適切に組み合わせて行う医療システムです。この医療アプローチは、患者を中心に据え、身体だけでなく精神、社会、さらにはスピリチュアリティを含む全人的な医療を目指しています。
統合医療の主な特徴:
患者中心のアプローチ
疾病予防と健康増進に重点を置く
生涯にわたる包括的な医療
多職種連携によるチーム医療
人では統合医療には、鍼灸、漢方、アーユルヴェーダなどの伝統医療、食事療法、マッサージなどの徒手療法、ヨーガやエネルギー療法、心理療法など、多様な療法が含まれます。
背景と発展
統合医療の概念は、近代西洋医学の限界を感じ始めた患者や医療従事者の要求から生まれました。特に、生活習慣病や慢性疾患、現代病と呼ばれる症状の増加に伴い、人間本来の自然治癒力を引き出す医療として注目されています。
米国では1981年にハーバード大学のアイゼンベルグ教授の調査をきっかけに、代替医療の研究が進められました。日本でも2012-13年に厚生労働省で「統合医療の在り方に関する検討会」が開催され、2014年からは統合医療情報発信サイトの事業が始まりました。
期待される効果
医療費の増大防止
超高齢社会における健康寿命の延長
病気の予防と健康増進
患者のQOL(生活の質)向上
統合医療は、21世紀の医療として国内外で注目されており、現代社会が直面する多くの医療問題の解決策として期待されています。
統合医療と従来の医療(通常医療)には、以下のような主要な違いがあります:
健康の定義:
従来の医療: 身体的、精神的、および社会的に良好な状態で、疾患やその他の異常がないこと
統合医療: 身体、心、精神およびそれらの相互関係の最適なバランス、回復力、統合性
病気の定義:
従来の医療: 器官または物理的・生化学的過程の機能不全や望ましくない症状
統合医療: 身体、心、精神の不均衡。具体的な症状に加え、患者個人の全体的な状態を考慮
治療アプローチ:
従来の医療: 科学的根拠に基づく治療法(薬物療法、手術など)に限定
統合医療: 近代西洋医学を中心としつつ、伝統医学や相補・代替療法を適切に組み合わせる
患者の捉え方:
従来の医療: 主に身体的症状に焦点を当てる
統合医療: ホールパーソンとして患者を捉え、身体、精神、社会、スピリチュアリティを含む全人的なケアを提供
科学的根拠の扱い:
従来の医療: 確立された科学的根拠の原理に厳密に依存
統合医療: 科学的根拠を重視しつつ、伝統的な使用や理論も考慮。リスクの低い実践に対しては、より柔軟な科学的裏付けを許容
統合医療は、従来の医療と対立するものではなく、むしろ近代西洋医学を中心として、それを補完する形で様々な医療アプローチを統合することを目指しています。この包括的なアプローチにより、患者中心の医療を実現し、より効果的な治療と健康増進を図ることが統合医療の特徴です。
動物における日本の統合医療のメジャーな学会には比較統合医療学会があります。