冬虫夏草（Cordyceps sinensis および Cordyceps militaris）

伝統的な漢方、生薬、東洋医学で用いられてきたキノコで、近年ではその免疫調節作用や抗がん作用に関する科学的研究が進められています。

１．免疫機能に対する作用
動物実験およびヒト臨床試験のエビデンス
Cordyceps sinensis の多糖体（CS-PS）は、放射線照射を受けたマウスにおいて、リンパ球の増殖やマクロファージの貪食活性を高め、免疫機能を向上させることが報告されています 。

Cordyceps militaris の水抽出物は、マウスモデルにおいてインターフェロン-γ（IFN-γ）の分泌を増加させ、免疫応答を強化することが示されています 。

Paecilomyces hepiali（C. sinensis の代替菌株）由来の培養抽出物（CBG-CS-2）を用いたヒト臨床試験では、健康な成人においてナチュラルキラー（NK）細胞の活性が有意に増加し、細胞性免疫の向上が確認されました 。

２．抗がん作用
主要な作用メカニズムと研究結果
Cordyceps militaris のエタノール抽出物（Cm-EE）およびその主要成分であるコルジセピンは、乳がんおよび肝細胞がん細胞に対して、NKG2Dリガンドやデスレセプター（FasR、DR4）の発現を増加させ、免疫細胞による細胞傷害性を高めることが示されています 。

Cordyceps militaris の抽出物は、非小細胞肺がん（NSCLC）細胞において、アポトーシス関連タンパク質（Bak、cleaved caspase-3、-9）の発現を増加させ、細胞死を誘導することが報告されています 。

Cordyceps militaris の水抽出物は、マウスモデルにおいて腫瘍の血管新生を抑制し、腫瘍増殖を抑える効果が観察されています 。

Cordyceps militaris のエタノール抽出物は、肝細胞がん細胞において細胞増殖を抑制し、アポトーシスを誘導することが報告されています 。

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