ハーブ・サプリメント・食事で取り組む犬のアレルギー対策（クリス・ベッセント博士）

1. はじめに：現代の犬が抱える「炎症」の火種

クリス・ベッセント博士は、多くのアレルギー症状（皮膚の痒み、赤み、脱毛など）の根底には、体内の「熱（炎症）」と「湿（不要な水分や粘り）」が隠れていると指摘しています 。現代の犬は、高度に加工された食事や環境ストレスにより、常に体が「燃えやすい状態」にあります 。

2. 食事療法の鍵：体を「冷やす」食材の選択

中医学の視点では、アレルギーの「熱」を鎮めるために「冷却性（Cooling）」の食材を選ぶことが推奨されます 。

• 推奨されるタンパク質: ターキー（七面鳥）、ホワイトフィッシュ（白身魚）、ラビット（うさぎ）などは、体内の過剰な熱を奪う助けとなります 。

• 避けるべき食材: ビーフ（牛肉）やチキン（鶏肉）は、中医学的に「温・熱」の性質を持つため、すでに痒みがある犬には症状を助長させる可能性があります 。

• 加工食品の罠: ドライキブル（乾燥フード）は製造工程で高温処理されるため、それ自体が「熱」を帯びており、体内の水分を奪って皮膚の乾燥を悪化させます 。

3. サプリメントとハーブによるアプローチ

食事に加えて、体内のバランスを整えるための補助成分が紹介されています 。

• オメガ3脂肪酸: フィッシュオイルなどに含まれるEPA/DHAは、強力な抗炎症作用を持ち、皮膚のバリア機能をサポートします 。

• ケルセチン（天然の抗ヒスタミン剤）: ヒスタミンの放出を抑え、アレルギー反応を和らげる「自然界の抗ヒスタミン剤」として機能します 。

• 西洋ハーブと東洋ハーブの融合: ネトル（イラクサ）などの西洋ハーブに加え、体内の「湿」を取り除く中医学的なハーブ処方が、慢性的な皮膚疾患に効果を発揮します 。

4. 腸内環境と免疫システム

アレルギーの改善には、免疫の要である「腸」の健康が不可欠です 。

• プロバイオティクス: 善玉菌を補うことで、過剰な免疫反応を抑制し、アレルギー体質の根本的な改善を目指します 。

• 消化酵素: 食べ物を完全に分解することで、未消化のタンパク質が抗原（アレルゲン）として認識されるのを防ぎます 。

5. 飼い主へのメッセージ：長期的な視点でのケア

アレルギーは一朝一夕で治るものではありません 。ベッセント博士は、以下の3点を強調しています：

1. 原材料の質を重視する: 「何が入っていないか」だけでなく「何が入っているか」を確認すること 。

2. 季節に合わせる: 夏場や湿気の多い時期は、より「除湿・清熱」を意識したケアを行うこと 。

3. 小さな変化を見逃さない: 被毛のツヤや便の状態は、体内のバランスが改善している最初のサインです 。