犬のアレルギー③
このセッションでは、毒性学の専門家であるジョン・テグゼス博士が、「アレルギーだと思っていた症状が、実はペットフードに含まれる毒素への反応かもしれない」という非常に重要な視点を提示しています。
アレルギーと間違われやすいペットフードに潜む「隠れた毒素」
1. はじめに:それは本当にアレルギーなのか?
犬が体を痒がったり、皮膚に赤みが出たりすると、多くの飼い主は「食物アレルギー」を疑います。しかし、テグゼス博士は、ペットフードに含まれるカビ毒(マイコトキシン)や重金属などの毒素に対する慢性的な反応が、アレルギー症状と酷似していることを警告しています。
2. 隠れた脅威:マイコトキシン(カビ毒)
ドライフード(キブル)の主な原材料であるトウモロコシ、小麦、米などの穀物には、収穫前や保管中にカビが発生し、目に見えない毒素(マイコトキシン)が生成されることがあります。
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蓄積するダメージ: 高濃度の毒素であれば急性中毒になりますが、低濃度の毒素を毎日摂取し続けると、肝臓への負担や免疫系の異常を招き、皮膚の炎症として現れることがあります。
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熱に強い: カビ自体は製造工程の加熱で死滅しますが、毒素(マイコトキシン)は熱に非常に強く、完成したフードの中に残ってしまいます。
3. 保存状態と酸化のリスク
フードを開封した瞬間から、脂肪分の酸化が始まります。
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酸化した脂質: 古くなった油(酸化脂質)は体内で炎症を引き起こす原因となり、これが皮膚の痒みや状態悪化に直結します。
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大袋の罠: お得だからと大きな袋を買い、1ヶ月以上かけて消費する場合、後半のフードは酸化が進み、犬にとって有害なものになっている可能性があります。
4. 重金属の汚染
一部のペットフード(特に魚を主原料とするものや、安価な原材料を使用しているもの)には、水銀、鉛、ヒ素、カドミウムなどの重金属が含まれているケースがあります。
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毒素の蓄積: 重金属は体外に排出されにくく、体内に蓄積されることで免疫システムを撹乱し、アレルギーのような過敏反応を引き起こします。
5. 博士が推奨する解決策:フレッシュフードの力
テグゼス博士は、毒素のリスクを最小限にするために「新鮮な本物の食材(フレッシュ・ホールフード)」を推奨しています。
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加工を減らす: 高度な加工を避けることで、製造工程で生じる化学変化や未知の毒素のリスクを減らせます。
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多様な食材: 特定のフードを長年食べ続けるのではなく、新鮮な食材をローテーションすることで、特定の毒素が体内に蓄積するのを防ぐことができます。
飼い主へのアドバイス:記事のまとめポイント
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「アレルギー」と決めつける前に: 食事療法を試しても改善しない場合は、環境やフード自体の「汚染(毒素)」を疑ってみる。
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フードの鮮度を守る: ドライ製品を使用する場合は、2週間以内に使い切れるサイズを選び、涼しく乾燥した場所に保管する。
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少しでも新鮮なものを: 完全に手作りにできなくても、毎日の食事の何割かを新鮮な肉や野菜に置き換えるだけで、毒素の希釈効果が期待できる。
