犬のアレルギー④
獣医師のリサ・チャイムズ博士が、アレルギーを持つ犬にとっての正しいグルーミング(洗浄とブラッシング)について、医学的な視点から解説しています。
記事タイトル:洗いすぎは逆効果?獣医師が教えるアレルギー犬のための正しいグルーミング術
1. はじめに:アレルギー対策としてのグルーミング
グルーミングは単に犬を綺麗にするだけでなく、アレルギー管理において非常に重要な役割を果たします。皮膚に付着した花粉、ダニ、カビなどのアレルゲンを物理的に取り除くことで、皮膚への浸透を防ぎ、痒みを軽減できるからです。
2. 「洗いすぎ」が皮膚のバリアを破壊する
多くの飼い主が陥る最大の間違いは、犬を頻繁に洗いすぎることです。
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バリア機能の低下: 犬の皮膚は人間よりも薄く、非常に繊細です。過度なシャンプーは、皮膚を保護している天然の油分を奪い、乾燥を招きます。
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悪循環: 皮膚が乾燥するとバリア機能が壊れ、さらにアレルゲンが侵入しやすくなり、痒みが悪化するという悪循環に陥ります。
3. 正しいシャンプーのポイント
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適切な頻度: 健康な犬であれば数週間に一度で十分です。アレルギーがある場合でも、獣医師の指示がない限り、毎日洗うような過度な洗浄は避けるべきです。
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シャンプー選び: 人間用のシャンプーはpH値が異なるため絶対に使用しないでください。犬専用の、特に低刺激で保湿成分(オートミールやアロエなど)が含まれたものを選びます。
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「すすぎ」が最も重要: シャンプー成分が皮膚に残ると、それが刺激となって痒みを引き起こします。これでもかというほど、徹底的にすすぐことが大切です。
4. ブラッシングの驚くべき効果
シャンプーよりも推奨されるのが、毎日の丁寧なブラッシングです。
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アレルゲンの除去: 散歩の後にブラッシングをするだけで、被毛についた外部のアレルゲンを落とすことができます。
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皮膚の血行促進: ブラッシングは皮膚の血行を良くし、天然の油分を全身に行き渡らせる効果があります。
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早期発見: 毎日体に触れることで、小さな湿疹や寄生虫、皮膚の変化にいち早く気づくことができます。
5. 保湿(コンディショナー)の重要性
シャンプーで汚れを落とした後は、必ず水分を補給する必要があります。
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洗い流さないコンディショナー: 博士は「洗い流さないタイプ(リーイン・コンディショナー)」を推奨しています。これにより、皮膚の表面に保護膜を作り、乾燥から守ることができます。
飼い主へのアドバイス:記事のまとめポイント
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「洗う」より「拭く・ブラッシング」: 散歩後は濡れタオルで足や体を拭き、ブラッシングすることで、シャンプーの頻度を下げつつ清潔を保てます。
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お湯の温度に注意: 熱すぎるお湯は皮膚を刺激し、痒みを増幅させます。ぬるま湯(人肌以下)を使用しましょう。
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専門家との連携: 皮膚に赤みや異常がある場合は、グルーミングで解決しようとせず、まずは獣医師に相談して処方シャンプーが必要かどうかを確認してください。
ここでは過剰なケアが逆に皮膚を傷つけている可能性を指摘し、シンプルで正しい「保湿重視」のケアを提案しています。
