犬のアレルギー⑪
このセッションでは、救急救命および内科の専門医であるクリストファー・バイヤーズ博士が、**「犬のアレルギー性緊急事態(アナフィラキシー)」**の兆候と、飼い主が取るべき行動について解説しています。
記事タイトル:痒みだけじゃない!命に関わる犬のアレルギー性緊急事態と対処法
- はじめに:アレルギーは「救急」になり得る
犬のアレルギーといえば「皮膚の痒み」を連想しがちですが、中には数分から数時間で命を落とす危険のある**「アナフィラキシー」**という緊急事態があります。バイヤーズ博士は、これを早期に認識することの重要性を説いています。
- 犬のアナフィラキシー:人間との違い
人間の場合、アナフィラキシーの主な標的臓器は「喉(気道)」ですが、**犬の場合は「肝臓」と「胃腸」**に激しい症状が出ます。
- 主な症状:
- 突然の激しい嘔吐や下痢(血便を伴うこともある)。
- ぐったりする、あるいは倒れる(血圧の急降下によるショック状態)。
- 歯茎が白くなる(循環不全)。
- 顔の腫れ、蕁麻疹(じんましん)。
- 緊急事態を引き起こす主な原因
- 虫刺され: ハチ(ミツバチ、スズメバチ)やアリによる刺咬傷が最も一般的です。
- ワクチン・薬剤: 非常に稀ですが、特定のワクチン接種や薬の投与直後に反応が起きることがあります。
- 食べ物: まれに特定の食べ物に対して即時型のアレルギー反応を示す場合があります。
- 飼い主が取るべき緊急アクション
もし愛犬にアナフィラキシーが疑われる症状が出た場合、一刻を争います。
- すぐに動物病院へ: 自宅で様子を見たり、ネットで調べたりする時間は禁物です。最寄りの救急動物病院へ電話をかけ、向かっていることを伝えます。
- エピペンの使用: 過去に重篤な反応を起こしたことがある犬の場合、獣医師から処方された犬用の自己注射薬(エピペン)を指示通りに使用します。
- 抗ヒスタミン薬について: 軽度の顔の腫れなどには有効な場合がありますが、ショック状態(倒れる、激しい嘔吐など)の場合、飲み薬が効くのを待つ時間はありません。
- 病院での治療とその後
- 治療: 病院では、血圧を上げるためのアドレナリン投与や、大量の点滴、酸素吸入などの蘇生処置が行われます。
- 経過観察: 症状がいったん落ち着いても、数時間後に再び悪化する「二相性反応」が起きる可能性があるため、通常は一晩の入院が推奨されます。
記事のまとめ:飼い主へのチェックリスト
- 「突然の嘔吐+ぐったり」は要注意: 皮膚の痒みがなくても、これらが出たらすぐに病院へ。
- 散歩中の異変を見逃さない: 草むらでハチに刺された直後に倒れるケースが多い。
- 救急病院の連絡先を登録: 夜間や休日でも対応できる病院を事前に把握しておく。
