犬猫に危険な食べ物

Danger Foods for Dogs and Cats(犬猫に危険な食べ物)

イアン・ビリングハースト先生


■ 概要

著者は「生物学的に適した生食(Raw Whole Food)」を提唱する獣医師であり、本書では犬猫にとって危険な食品を列挙。特に「加工ペットフード」こそ最も危険な“偽の食べ物と位置づけ、長期的にがんを含む退行性疾患を引き起こすと警告している


■ 危険食品一覧

  1. 加工ペットフード
     穀物ベース・高温調理の工業製品は、慢性的に犬猫の健康を損なう最大の危険因子。

  2. タマネギ類(ネギ、チャイブ含む)
     赤血球を破壊し、貧血・呼吸困難・致死を招く。加熱・乾燥・粉末化で毒性が高まる。

  3. ニンニク
     過剰は有害だが、総量の1%以下(例:1kgあたり生ニンニク約10g)は安全かつ有益とされる。猫では嗜好性を考慮して除く場合も。

  4. ブドウ・レーズン
     ごく少量でも腎不全を起こす可能性。原因物質は未特定。犬の遺伝的感受性が関与。

  5. チョコレート
     少量でもけいれん・昏睡・死の危険。特にダークチョコや製菓用チョコが危険。

  6. ホウレンソウ(シュウ酸)
     通常量では問題ないが、尿路結石体質の個体では避ける。加熱で毒性が高まりやすい。

  7. アボカド
     「パーシン(persin)」が心臓・肺・腹腔に障害を起こす。安全な品種は不明のため、与えない方が良い。

  8. トマト・ジャガイモ(特に青い部分)
     未熟な実や茎葉に毒性アルカロイド(トマチン・ソラニン)を含む。関節炎を悪化させる例も。

  9. ナツメグ
     中枢神経毒。発作や死を招く恐れ。クリスマス菓子などに注意。

  10. カフェイン(コーヒー・紅茶)
     嘔吐・不整脈・興奮・死亡の危険。コーヒー豆やチョコがけ豆にも注意。

  11. アルコール
     ごく少量でも致死的。ふらつき・低体温・心停止を起こす。

  12. ベーキングパウダー/重曹
     過剰摂取で電解質異常・筋けいれん・心不全を起こす。

  13. キシリトール
     急激な低血糖、けいれん、昏睡、死亡の危険。ガムやダイエット食品に注意。

  14. マカダミアナッツ
     筋肉・神経障害を起こす。6粒でも有害報告。安全性不明のため禁止。

  15. クルミ(特にカビたもの)
     カビ毒により嘔吐・ふらつき・黄疸などを起こす。

  16. 果物の種(リンゴ、桃、さくらんぼ等)
     シアン化合物を含み中毒を起こす。誤嚥や腸閉塞の危険も。

  17. 塩分
     慢性的過剰で腎・心疾患、急性では脱水・嘔吐・胃拡張捻転症(bloat)の原因となる。

  18. 発酵中のパン生地
     胃内で膨張し鼓脹を起こす。発酵過程でアルコールも生成され危険。

  19. 加熱・酸化した脂肪
     膵炎の原因。特に老犬や小型犬種(トイプードル、シェルティー、コッカー等)は要注意。
     一方、生の良質な脂肪はケトン食治療の一部として有用。

  20. 野生キノコ
     肝・腎障害、けいれん、死亡を招くことがあり、絶対禁止。

  21. 穀類
     犬猫には進化的に不適。慢性炎症・糖化・がん・糖尿病・肥満などの原因。
     若く健康な個体に少量なら害は少ないが、慢性疾患のある動物では完全除去が必要。

  22. 加熱骨
     消化管穿孔や腸閉塞を起こす危険。**生の柔らかい骨(鶏首・手羽など)**のみが安全。


■ 結論

  • 最大の危険は「加工された人工フード」そのものである。

  • 犬猫の健康を守るためには、「生物学的に適した生食(Raw Whole Food)」を基本とし、
     加工・加熱・糖化・穀類・人工甘味料を避けることが原則