真菌と癌の関係
2019年に発表された研究によると、人の膵臓癌(膵管腺癌、PDA)の進行に特定の真菌、特に人でも動物でも皮膚病では一般的なマラセチア属(Malassezia)が関与している可能性が示唆されています。(Nature)
要旨
膵臓内の真菌増殖: PDA患者およびマウスモデルの膵臓では、健康な対照群と比較して真菌の存在量が増加していた。
マラセチア属の優勢: 特にマラセチア属の真菌が膵臓腫瘍内で顕著に増加しており、この属は通常皮膚に多く存在することで知られている。
腫瘍進行への影響: 抗真菌薬でマウスの膵臓内の真菌を除去すると、腫瘍の進行が遅延し、化学療法の効果が向上した。さらに、マラセチア属の真菌を再導入すると、腫瘍の成長が再び促進された。
免疫系の関与: マラセチア属の真菌は、マンノース結合レクチン(MBL)を介して補体カスケードを活性化し、炎症反応を引き起こすことで腫瘍の進行を促進する可能性がある。
これらの結果は、膵臓癌の進行における真菌の役割を示唆しており、将来的には真菌を標的とした新たな治療法の開発につながる可能性があります。