T 細胞リンパ腫に対するイベルメクチンの抗腫瘍効果

T 細胞リンパ腫保有宿主に対するイベルメクチンの抗腫瘍効果

Antitumor potential of ivermectin against T-cell lymphoma-bearing hosts.

Medical oncology (Northwood, London, England). 2025 Apr 21;42(5);169
Author Alok Shukla, Arpit Sharma, Shivani Gupta, Abha Mishra, Amit Singh

イベルメクチンは、イベルメクチン系に属する広域スペクトラムの抗寄生虫剤であり、抗がん作用の可能性を示す。当初、寄生虫感染症の治療用に獣医学および人間用として開発されたイベルメクチンは、当研究において腫瘍細胞(ダルトンリンパ腫細胞)に対して顕著な抗腫瘍効果を示した。イベルメクチンを24時間投与した結果、腫瘍細胞の生存率が用量依存的に減少することが観察され、IC₅₀値は10.55 µg/mLと算出された。一方、標準的な抗がん剤であるシスプラチンは、同じ投与期間下でIC₅₀値が8.32 µg/mLと、やや高い細胞毒性を示した。フローサイトメトリー解析により、イベルメクチンが細胞周期のG0-G1相での停止を引き起こすことが示された。アポトーシスによる腫瘍細胞の死は、アンネキシンV/PI染色により確認され、アポトーシスの特徴である核凝縮が、共焦点顕微鏡とフローサイトメトリーにより可視化された。アポトーシスはミトコンドリア依存性であることが、JC-1アッセイによるミトコンドリア膜電位(ΔΨm)の低下により示された。治療によりDAPI陽性細胞が増加し、重度のクロマチン凝縮が観察された。さらに、アクリジンオレンジとプロピジウムヨウ化物染色により細胞死が検証され、アポトーシスとネクローシスによる細胞膜破裂と死の増加が示された。ミトコンドリア依存性アポトーシスは、イベルメクチン投与による活性酸素種(ROS)の増加によりさらに支持された。さらに、in vivoでは、イベルメクチン投与により腫瘍を有するマウスにおいて腫瘍サイズの大幅な減少、脾臓サイズの正常化、体重の改善、および肝組織の組織病理学的改善が観察された。これらの結果は、イベルメクチンが細胞周期停止、ROS生成、ミトコンドリア機能障害、アポトーシスを含む複数のメカニズムを介して作用する再利用可能な抗がん剤としての治療可能性を総合的に支持している。